歯医者で神経を抜くことに…神経を抜くと歯はどうなる?

『歯の神経を抜く』と言われて、気になること

 

歯が痛くて、虫歯だと思って歯医者さんに行ったら、先生に、『神経を抜きましょう』と言われてびっくりした経験がある方も多いのではないでしょうか?

 

神経を抜く・・・!?

 

なんだか、とても怖い響きですね。

 

虫歯だと思っていたので、いつもと同じように、ささっと削って、ちょっと詰めて、おしまい!

 

となるはずが、神経という言葉が出てくるだけで、一気に重大感が増しますよね。

 

神経は、指や顔、体の至るところにありますが、勿論、歯にもあります。

 

歯の神経があるからこそ、虫歯が大きくなると歯に痛みを感じたり、冷たいものがしみるという症状を感じる事があります。

 

それなら歯の神経が無い方が痛みなどを感じなくていいのだから、神経はない方がいいのかも!

なんて思いませんか?

 

しかし、結論から言うと歯の神経は抜かない方がいいのです。

では、なぜ歯の神経は抜かない方が良いのでしょう?

 

そもそも、歯の神経って何?

神経を「抜く」とはどういうこと?

どんな事をするの?

歯の神経を抜いた後は、どうなるの?

と、気になる点がたくさんあると思います。

 

今回は、そんな気になる歯の神経に関することを一つずつ、お話していきますね。

 

神経抜く_1

 

歯の神経って何? 神経を抜くとは?

 

そもそも歯の神経とは、なんでしょう?

歯にも神経ってあるんだ!と思われました人もいるかもしれませんね。

そうなんです。歯にも神経はあるんです。

 

歯はエナメル質、象牙質など様々な組織から成り立っていますが、

その一つ、歯の中心を神経が通っている組織があります。

 

それを歯髄(しずい)と言います。

 

「神経を抜く」と言われますが、正しくは、歯から歯髄を取り除く事を指し、これを「抜髄(ばつずい)」と言います。

 

実は歯髄は、神経だけで構成されているのではありません。

歯髄には血管もあり、この血管を使って、歯に必要な栄養を送る働きをしています。

 

それに、虫歯の細菌が歯の内部に入ろうとした時に、それを入ってこないように防ごうとする働きがあるので、歯にとって、とても大事なものだと言うことが分かってもらえるかと思います。

 

そして、この歯髄が主に歯の痛みを感じる役割を持っています。

 

 

では、虫歯だと思って歯医者に行って、

「神経を抜きましょう」

と言われた時、

「虫歯じゃないの?」

と思われるのではないでしょうか?

 

虫歯の治療のイメージは、「削って詰めて、出来上がり!」ですよね。

 

この中に、どこにも「神経を抜く」なんて言葉は入ってない!?

と言うことは、神経を抜くのと虫歯とは別物なのでしょうか?

 

実は、神経を抜く「抜髄」と言うことも、虫歯治療のうちの一つです。

 

虫歯治療で神経を抜くことになる場合、虫歯が大きく、エナメル質や象牙質だけではなく、細菌が歯髄にまで到達してしまっていたという状態です。

 

しかし、抜髄するのは、虫歯だけが原因ではありません。

では、他には、どういった原因で、神経を抜くことになるのでしょう。

 

一つには、咬み合わせの問題です。

被せ物をした歯が、咬み合わせが高くて、咬みあわせる対の歯と、よく当たってしまい、歯髄に刺激が伝わり、それが続くと歯髄炎になります。

 

二つめは、知覚過敏によるものです。

こちらも、知覚過敏による歯髄への刺激が続くと歯髄炎となります。

 

そして、歯髄炎は歯痛を引き起こします。

この歯痛をなくす為には、炎症を引かせるため神経を抜く治療が必要になります。

 

このように、

・虫歯が大きく歯髄にまで虫歯細菌が到達してしまっている

  • ・咬み合わせによる、歯髄炎
  • ・知覚過敏による、歯髄炎

 

この3つが、歯の神経を抜くことになる主な原因です。

 

また、この状態を放置していると、歯髄が壊死してしまうので、感染根管治療と言う処置が必要になりますが、これも抜髄と同様、歯髄を取り除くものです。

 

「神経を抜く」と言われると怖く聞こえますが、必要な処置なのであれば、早めに治療してもらうことをオススメします。

 

神経抜く_2

 

神経を抜く抜髄はどんな治療をするの? 治療回数は?

 

では、神経を抜く「抜髄(ばつずい)」は一体どうやって治療するのでしょう?

 

神経を抜くと聞くと、とても怖い治療のような気がしますね。

 

痛いのかな?

すぐに終わるのかな?

 

いろいろと不安に思うことが出てきますね。

 

それでは、歯の神経を抜く「抜髄」というものがどんな治療をするのか、簡単にお話ししますね。

 

抜髄とは、虫歯が歯の神経まで到達してしまっていた場合や、強すぎる噛み合わせや知覚過敏により、歯髄に炎症が起こってしまい治らない場合の処置として行う治療で、簡単に言うと、「歯の神経を取ってしまう治療」です。

 

治療法としては、虫歯の場合はまず歯の虫歯部分を取り除きます。

 

そのあとは、虫歯以外が原因であっても同じです。

 

①歯の中を歯の中心を通っている歯髄と言われる神経や血管などで構成される組織の部分を取り除き、消毒する

 (根管治療と言います)

②神経を抜いて空洞になった歯髄の部分に、専用の薬品を詰め、充填する

③歯の被せ物を出来るようにする為に、歯の土台を作る

④作った土台に被せ物をする

 

簡単に言うと以上の工程で歯の神経を抜く治療は行われます。

しかし、実際の治療はこんなに、簡単には進みません。

 

まず①の根管治療ですが、歯髄とは、そんなに簡単に取り除けないものです。

また歯髄が感染している状態なので、それを消毒し綺麗な状態にしていくので、一度に完全に出来るわけではありません。

なので、この治療だけでも必要に応じて、何度も通院が必要となります。

 

しかし、治療される側としては、根管治療は、治療の中でも特に進捗が分かりづらいうえ、治療1回あたりの時間が数分と短時間で済む場合が多く、数分間の治療をしては終わり、また後日通院しなければならないと言うことが多いです。

 

ですので、

「本当に治療は進んでいるの?」

「無駄に治療回数を稼いで、治療費を請求されているんじゃないか?」

などと疑問に感じられることが多く、治療が④の被せ物をかぶせて、終了!

となる前に、中断して、通院を止めてしまう場合が多くあります。

 

しかし、先ほどもお話ししたように、歯髄と言うのは、そう簡単には綺麗に消毒・取り切ることはできませんので、少しずつ、薬を交換して、消毒してというのを繰り返し行うことでしか、できないことでもあるのです。

 

神経を抜く治療は、小さな虫歯のように、一度歯医者に行くだけで、削って詰めてはい、治った!という単純なものではありません。

 

何度も歯医者に通院することは、楽しいことではなく、心折れそうになるかもしれませんね。

 

しかし、①から④の行程を全て終えてようやく、治療終了と言えます。

 

治療の途中でやめてしまうと、脆い状態で放置することになり、最悪の場合、歯髄が、より感染を起こし、突然強い炎症を起こすこともあります。

 

ですので、神経を抜くことになったら、面倒だと思いますが、最後まで治療に通うように頑張りましょうね。

 

神経抜く_3

 

神経を抜いた歯はどうなるの?

 

神経を抜いた(抜髄した)歯は、その後どうするでしょうか?

もう痛みも引いたし、それでOK!

  • ・・では、ありません。

 

神経を抜いた後は、歯髄が空洞になっているので、その空洞を埋めるための薬品を充填します。

 

そして、神経を抜くために歯を削っているので、歯に被せ物や詰め物をして、歯としての機能を果たせるようにします。

 

この詰め物は、レジンという樹脂や、金属を使います。

削った部分が大きいとレジンでは噛み合わせの大きな負担に耐えられないので、金属を使う場合が多いです。

 

また、かなり大きく削っている場合は、被せ物をします。

 

被せ物をする前には、被せ物をできるようにする為に、下準備として、土台をつくります。

この土台にも、レジンの物と金属の物があります。どちらの場合も、土台づくりから被せ物までして、やっとの事で、神経を抜いた後の治療は完了です。

 

ここまで、何度も通院し、やっと治療が終わった歯ですが、神経を失った歯には神経が生きている歯と違う点があります。

 

①神経を取った歯は、痛みを感じなくなる

これは、嬉しい!と思うかもしれませんが、痛みを感じないということは、その歯に何か起こっている場合も気づくことが出来ません。

歯は、噛み合わせの負荷が大きすぎる場合やその他の外的要因からも、割れてしまう場合がありますが、それも気づいた時には、「もう割れていた!」となる場合があります。

 

②歯が黒ずんでくる

神経を抜いて被せ物をせずにレジンで詰めた場合、残っている歯の部分が黒ずんできます。

前歯などの場合は、特に目立ってしまうので、被せ物をする必要があります。

 

③温度を感じない

実は神経のある歯は1本1本が温度を感じています。

しかし、神経を抜くと温度を感じなくなります。

この温度を感じることによって、食事をした時に美味しいと感じることが出来ます。

 

 

などが神経のある歯と無い歯の違いです。

 

やはり、神経がある歯と無い歯では、無い歯は脆くなってしまいますし、デメリットばかりですね。

 

神経抜く_4

 

 

歯の神経を抜いたら・・・

 

止むを得ず歯の神経を抜くことがあります。

歯の神経を抜く言っても、歯を抜くわけではありません。

なので、歯自体は残っています。

 

神経の治療は終了まで回数がかかります。

めげそうになりますよね?

実際、痛みが治まった段階で、治療が途中段階なのに、歯科医院に通わなくなる方が多いです。

 

でも、しっかりと最後まで治療をしないと、痛みが再発したり、突然腫れ上がったりしてしまいます。

また神経がある状態と、神経が無い状態では、同じ歯であっても全く違ってきます。

 

神経のない歯は、ある歯に比べて、どうしても弱く、脆くなります。

 

「脆くなってしまうなら、いっその事、治療せず放置しておこうかな?」

と思うこともあると思います。

 

神経を抜く必要がある歯を放置していては、どんどん酷くなり、最終的には歯までも抜かないといけない状態になってしまう可能性があります。

 

神経を抜くことは、歯のためにも、できる限りしない方が良いことです。

しかし、やむなく神経を抜く必要がある場合は、しっかり完治するまで、通院して完治させて下さい。

 

一度完治させ被せ物もしている歯でも、また、歯の神経が菌に感染して、再度、根管治療する必要がある場合もあります。

 

虫歯にならない事が一番の目標ですね。

しかし、なってしまった場合には、正しい知識と、正しい対処法を行うことによって、歯の寿命も延びますよ。

神経抜く_5

 

 

 

 

 

 

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