みなさんは自分の歯が何本あるか、パッと答えられますか?
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「親知らずを除いて28本」
答えられない人が多いのでしょうか?
また自分の歯で治療した歯や神経を抜いた歯がある人はどの歯を治療したのか覚えていますか?
歯は何本生えるのでしょうか?
歯は食べ物を食べるのにはもちろん、生活していく上で欠かせないものです。
自分の歯で食事をしっかりとることができるというのは高齢になってからの生活の質「QOL」に大きく関わってきます。
ですが、治療した歯や神経を抜いた歯は、健康な歯よりも寿命が短くなっているのは確かです。
再び虫歯になったり問題が出たりするリスクは高く、残せない状態にどんどん近づいていきます。
それから、しっかりブラッシングをやっていたとしても歯周病は加齢により進行していきます。
歯周病は重度になればなるほど自分でケアすることが難しく、最終的には歯を抜かなければいけなくなってしまいます。
生まれて少ししてから乳歯が徐々に生え始め、それが永久歯に生え変わり、ずっとその歯を使っていきます。
現在20代や30代の人はほとんどの歯がある方が多いと思いますが、高齢になっていくに従って歯を残せない、抜かなければいけないという場合が出てきます。
歯の生え方や数、高齢者の人はどれだけの歯が残るのか、そして歯を残すためにはどうすればいいのかを理解し、一生自分の歯で食べられるように意識していきましょう。
歯が生える本数
まず歯が作られるのは赤ちゃんがお腹の中にいる時から始まります。
妊娠してから6週間ほどで歯は作られ始めるのです。
そして生まれてから最初の乳歯が生え始めるのは、個人差はありますが10ヶ月前後となります。
乳歯は2歳半くらいで全て萌出(ほうしゅつ)し、数は全部で20本となります。
その後小学校に上がるくらいになると、最初の永久歯が生え始めます。
最初に生え始めるのは前から数えて6番目、乳歯の奥に生えます。
その後前歯になるのですが順番に乳歯が抜けて、下から永久歯が生えてきます。
乳歯が抜ける順番と永久歯が生えてくる順番は決まっています。
乳歯が虫歯だからといって抜いてしまうと永久歯が生えるスペースがなくなり歯並びが悪くなるので注意しましょう。
そして12歳前後に全部で28本の永久歯が萌出します。
その他、親知らずは4本あり、それも全て生えると32本になります。
ですが親知らずは横に生えてきたり、奥で虫歯になりやすかったりするため抜く場合が多いです。
また、元々親知らずがない場合もあります。
それについては特に問題はなく、抜く必要がないのでラッキーくらいに思うといいでしょう。
また、稀に通常より1本多く生えてしまう過剰歯(かじょうし)というものもあります。
過剰歯が生えてくる場所は人ぞれぞれで、親知らずの奥に1本生えてくる場合もあれば、上顎など歯並びと全然関係ないところから生えてくる場合もあります。
そういった場合は抜くことになると思いますが、気になったら先生に相談してみてください。
これが歯の生え方と本数になります。
そして高齢になるとどうなるのか、次に説明していきます。
一生で歯は何本残るのか?〜8020運動〜
歯はブラッシングをしっかりしたり、定期検診に行ったりして、しっかりケアをして管理していれば永久歯で生える28本(親知らずがあれば32本)を全て残すことは可能です。
ただ虫歯には日頃から気をつけなくてはいけなかったり、歯周病は歳を重ねれば重ねるほど進行しやすくなったりしてしまいます。
そのため意識的に気をつけなくてはなりません。
現在、35歳では平均28本残っているのが、なんと、70歳となると平均で15本になってしまうのです!!
10本以上もぬけてしまうなんて若いうちは想像できないですよね。
特に65歳以上になると歯の抜ける数がとても増えていきます。
高齢になってくるにつれ、虫歯や歯周病によって歯を失う人がとても多く、部分入れ歯や総入れ歯を使う人が増えていきます。
虫歯になりにくい人もいるのですが、そういった方はなかなか歯科医院に行く機会がないので歯周病が進行していたりします。
できることなら入れ歯ではなく、自分の歯でおいしく食べていきたいですよね。
そのため厚生労働省は1989年に8020運動を開始しました。
8020運動とは、80歳で20本以上の歯を残そうというのが目的です。
なぜ20本なのかというと、20本あれば硬いものでも特に問題がなく食べられるからです。
8020運動が開始された当初、その目標をクリアしているのは全体の7%程度でした。
2010年までに20本以上の残存歯を持つ人を20%とすることを目標としていたところ、目標よりも5年早い、2005年で初めて20%を超えることができました。
そして2013年では、80歳で20本以上の歯が残っている人が全国で38%、そして東京都港区では50%を超えたとの発表がありました。
50%を超えたのは全国でも初めてです。
現在、2020年には全国でも50%にすることを目標としています。
しっかり噛むことができ、食事ができるのは生活の質「QOL」も上がってきます。
できるだけ歯を抜かないようにお口の中をケアしていきましょう。
歯を残せるようにするべきこと
高齢になってくると歯を失うリスクが増えるというのは理解できましたか?
それでは歯を失わないようにするにはどうすればいいのか、説明していきます。
毎日のブラッシングをしっかりする
日々のブラッシングはとても大切です。
プラークなどの汚れは水でお口をゆすぐだけでは取ることができません。
歯ブラシやデンタルフロスなどを使って落とすことが必要です。
特に夜寝ているときは口の中が乾燥しやすく、虫歯菌や歯周病菌にとって活動しやすい環境になります。
そんなときに汚れが残っているとどんどん虫歯が作られたり、歯周病が進行していきます。
そのため、寝る前のブラッシングは特に意識して行いましょう。
定期的に歯科医院に検診に行く
歯石がついてしまうと自分では落とすことができません。
また、歯周ポケットの中などの歯ブラシでは落とせない部分のプラークや、磨き残しなど。
そういったものを歯科医院では綺麗にしてくれます。
それだけではなく、虫歯や歯周病のチェックや、食生活指導、それ以外についても口呼吸や歯軋りなど、お口に関わることはたくさんあり、そういったことに関してもアドバイスをしてくれるところがあります。
先ほども書きましたが、歯は削ってしまったり神経を取ったりしてしまうと再び問題が出やすくなってしまいます。
虫歯を作る前に予防することが大切です。
また歯周病に関しても、歯を支えている骨が溶けてしまうともう元に戻ることはありません。(正確に言うと方法はありますが、歯茎を切って手術をしなければいけません)
こちらも進行してしまう前に止めることが必要です。
癖に気をつける
口呼吸や歯軋りなど、食いしばりなど歯に関係する癖はたくさんあります。
あまり知られていないですが、口呼吸は虫歯になりやすかったり、歯軋りや食いしばりなどは歯周病になってしまったりします。
無意識にやっている場合が多いのですが、心当たりのある方は気をつけたり、歯科医院で相談してみましょう。
現在の70歳の平均残歯数が15本なので、なにもしなければ将来その本数になってしまうかもしれません。
定期検診は半年に1回ほどでいいので、そこまで負担になることではないと思います。
しっかり行くようにしましょう。
まとめ
歯の本数や、高齢になってきた時の歯を失ってしまうリスクは理解できましたか?
若い方で今は大丈夫だと思っていても、大丈夫なうちから予防していかないと後々苦労することになってしまいます。
歯がなくなってしまって入れ歯になっても食事をとることはできますが、やはり自分の歯だからこそ歯ごたえや歯触りを感じることができて、おいしく食べることができるのです。
それから、お口の中はとても繊細です。
指で髪の毛を1本挟んでもほとんどわからないですが、それがお口の中に入ってしまうととても気になってしまうし不快ですよね。
そんな繊細なお口の中に入れ歯を入れるとなると、徐々に慣れてくるとは思いますが、最初はものすごくストレスになると思います。
そのため、入れ歯を作っても結局入れないでいる方も少なくありません。
ですがそうしてしまうと、徐々に歯が動いていってしまい、今度は噛み合わせの方に問題が出てしまいます。
そして歯がないとお顔の表情や、発音にも影響が出てきてしまいます。
将来、おいしく食事を取り健康に過ごすためにも、なってから治療するのではなく、健康なうちから予防していきましょう。