概要
歯ぐきは健康ですか?
ご自身の歯ぐきは健康でしょうか?
自信を持って「健康です!」と答えられる方はなかなか少ないと思います。
どのような歯ぐきが健康なのでしょうか?
またどのような歯ぐきが健康ではないのでしょうか?
そして健康ではない歯ぐきのままいるとどうなるのでしょう。
虫歯は気にしている方が多いと思いますが、歯ぐきについて気にしている方はあまり多くないかもしれません。
歯ぐきが健康ではない状態を歯周病といいます。
少し前までは歯槽膿漏(しそうのうろう)と言われていましたが、同じものです。
歯周病は症状の進行度合いによって軽度から重度まで段階があります。
歯周病は悪くなっても虫歯みたいに痛みが出ることがなかったりするので、分かりづらい場合が多いです。
それでも歯ぐきが悪い状態をずっと放置してしまうと、歯周病は重度進行していき、最悪歯を抜かなければならなくなることもあります。
なぜ歯ぐきが悪くなるのを放っておくと歯を抜くことになってしまうのか。
今回はみなさんがあまり知らない歯周病や歯ぐきについて説明していきたいと思います。
歯ぐきが健康でないとどうなるのか
歯ぐきに炎症がある、腫れているとよく耳にしますが、そのような状態の時、口腔内ではなにがおこっているのでしょうか?
まずそこから説明していきます!
プラーク(歯垢)の中には細菌がたくさんいます。
虫歯の原因になる細菌もいれば、歯周病の原因になる細菌もいます。
今回は歯周病の話なので歯周病菌になるのですが、
日々、プラークをしっかり落とさないとその細菌が歯ぐきの中などに入り込んできます。
その時に自分の身体の中の抗体がその細菌が侵入してこないように戦います。
その時の状態が歯ぐきに炎症がある状態です。
これは歯周病の初期段階です。
そこでしっかり歯を磨いたり、クリーニングをしたりすれば細菌はいなくなり、歯ぐきの炎症もなくなって元の綺麗な歯ぐきの状態に戻ります。
ただそこでなにもせず放っておくと、細菌はどんどん増えていき、自分の身体の中の抗体が戦いきれなくなります。
そうすると今度は細菌の毒素から逃げようとして骨が自ら溶けていきます。
これを「吸収」といいます。
歯は歯ぐきの中で骨によって支えられています。
その支えている骨がどんどん吸収されてなくなっていってしまうのです。
この辺から歯周病の中等度となっていき、それでもなにもしなければ更に進行していくのです。
歯と歯ぐきの間にポケットという溝があるのですが、骨が吸収されていくと、そのポケットはどんどん深くなります。
ポケットの中にも歯垢や歯石がついてしまい、そうなってくると自分のブラッシングだけでは落とすことができません。
場合によっては膿がでてくることもあります。
このポケットの中の汚れによってもどんどん歯周病を進行させてしまいます。
そして、骨が吸収されるということは歯を支えているものがなくなってしまうので歯がだんだんグラグラするようになってきます。
この状態はもう歯周病の重度の段階です。
ちゃんと噛むことができなくなり食事もしにくくなります。
それがもう残せない段階まできてしまうと、虫歯ではない健康な歯でも抜かなければならなくなってしまうのです。
健康ではない歯ぐきを放っておいてしまうと、最終的にはこのようになってしまいます。
では今の歯ぐきは健康なのか?
それを判断するポイントを次に説明していきます!
歯ぐきが健康であることを判断する6つのポイント
では自分自身の歯ぐきは健康なのか、悪くなってしまっているのか、
それを見分けるポイントを説明していきましょう。
① 色
健康な歯ぐきの色は綺麗なうすいピンク色をしています。
それに比べて、悪くなっている歯ぐきは赤黒い色だったり、赤紫っぽい色だったりしています。またタバコを吸っている方はタバコの影響により黒くなっている場合もあります。
② 形
健康な場合は歯と歯の間の歯ぐきが歯に沿ってぴっしりと、綺麗な三角形をしていて引き締まっています。
逆に、悪くなっている歯ぐきは丸く、ぷっくりと腫れていたり、ぶよぶよしていて柔らかくなっていたりします。
③ 出血がないか
きれいで健康な歯ぐきには出血は見られませんが、腫れていると強く磨いてなくても歯ブラシやデンタルフロスなどを使った時に出血がみられます。これは分かりやすいので判断しやすいと思います。
④ スティップリングがあるか
スティップリングとは歯ぐきの表面にみられる丸くて小さいボコボコしたものです。
特に前歯の歯と歯の間の歯ぐきによくみられます。
健康な歯ぐきにはこれがみられるのですが、悪くなっている歯ぐきにはこれがみられず、ツルツルしています。
⑤ 口臭や膿がないか
健康な場合は、もちろん歯ぐきから膿が出る、口臭がするなんてことはありません。膿が出る時は歯と歯ぐきのポケットがだいぶ深くなっている時、すなわち歯周病がだいぶ進行している場合が多いです。
口臭がある場合もそういったポケットに汚れが溜まって口臭がある場合が多いので、そのような症状がある場合はすぐに歯科医院に行ってください。
⑥ 痛みがないか
歯ぐきが悪くなっていても痛みが出ない場合もありますが、歯ブラシで磨く時に歯ぐきが痛かったらそこの歯ぐきは腫れています。
また歯科医院でのクリーニング中も、痛みがある!といった方は、普段しっかり磨けていなくて歯ぐきが腫れているために痛みが出ていることもあります。
もし一つでも気になるところがある場合は歯ぐきが腫れている可能性があるため歯科医院へ行きましょう。
歯ぐきを健康に保つために
歯ぐきが健康か健康じゃないのか、ポイントは分かりましたか?
ご自身の歯ぐきはどうでしょうか?
次に歯ぐきを健康に保つために大事なことを4つ挙げていきます!
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・ブラッシングをしっかりする
プラークが残っていることにより歯周病が進行していくので、そのプラークをしっかり落とすことが必要です。
プラークを一番効率良く落とせるのはやはり毎日の歯磨きです。
特に夜寝る前は、歯ぐきも一緒にマッサージするようにしてポイントを押さえて汚れを落としましょう。
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・補助的清掃用具を使う
歯ブラシだけではすべての汚れを落とすのは難しいです。
デンタルフロスや糸ようじをなるべく使うようにしましょう。
特にデンタルフロスは歯ぐきの中まで入れて汚れをかき出すことができます。
ぜひ歯科医院で正しいデンタルフロスの使い方を聞いてみてください。
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・定期的に検診に行く
定期的に検診に行くことで一番正しい判断ができるプロに歯ぐきの状態をみてもらうことができます。
またクリーニングをしてもらうことによって、普段自分では取りきれない部分の汚れも落とすことができます。
特に歯石や、ポケットの中に入ってしまった汚れは自分では落とせないのでクリーニングをしてもらうことはとても大切です。
そして適切な処置やアドバイスをもうらことができ、歯ぐきを健康に保つことができます。
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・たばこを吸わない
たばこは歯ぐきの毛細血管を収縮させてしまうので細菌に対する抵抗力を低くしてしまいます。
それから歯ぐきに栄養を行きにくくしてしまうのです。そのため、歯周病の治療をしてもたばこを吸っていない人に比べると治りがとても遅いです。
身体に良くないと言われているたばこですが、お口の中にも悪影響を与えるので注意が必要です。
最後に
あまりわからなかった歯ぐきのこと、歯周病について少しは理解していただけたでしょうか?
日本では成人の8割が歯周病だと言われています。
でも先ほども説明したように、歯周病には段階があり、軽度の場合は歯科医院でクリーニングをすれば1.2週間で元の健康な歯ぐきに戻る場合が多いです。
中等度や重度の場合だと通院回数が増えてしまうことが多く、状態が悪いと2,3ヶ月通わなければいけなくなる場合も出てきます。
しかし放っておくとどんどん悪くなる一方なので、更に治療期間は伸びてしまいます。
吸収されてなくなってしまった骨は戻ることがありません。
元に戻すとなると歯ぐきを切って人口の骨などを入れる手術をしなければなりません。
今よりも悪くならにように最後までしっかり通いましょう。
一度綺麗にしてしまって、定期的に通っていれば2,3回のメンテナンスで終えることができます。
やはり悪くなる前に定期的に通って綺麗にするのが、メンテナンスもしやすく後々のことを考えると楽になってきます。
ぜひ、いつまでもおいしく食事ができるように健康な歯ぐきを保っていきましょう!