みなさんのお口の中には銀歯はありますか?
また銀歯をつけたのに取れてしまった経験はないでしょうか?
虫歯になってしまった時に保険治療で一般的に使われている銀歯なのですが、いろいろな条件により取れてしまうことがないわけではありません。
銀歯は審美的には気になるものの、値段も安く、保険診療として広く使われているものですが、実は最善の治療ではないのです。
銀歯は一般的にどれくらい持つのか、寿命などはあるのでしょうか?
なぜ銀歯は最善の治療ではないのか、そしてなぜ取れてしまうのかについてお話ししていきたいと思います。
できるだけお口の中は問題がでない方がいいですよね。
しかもその問題がお口の中だけでなく、全身に出る場合もあるのです。
ぜひ、これを読んで銀歯を入れなければならないときに治療方法を選ぶ際の参考にしてみてください。
銀歯に寿命はあるの?
先に結論から言うと、銀歯には寿命があります。
お口の中の環境にも寄りますが、銀歯の寿命はだいたい5年〜7年と言われています。
もちろんそれよりも早く外れてしまう場合もあれば、銀歯は10年以上持つ場合もあります。
保険で使う銀歯では、銀歯といいつつも、金、銀、銅、パラジウム、亜鉛、スズなど、その他にもいろいろな金属が合わさって作られています。
よって一般的には銀歯と言われていますが、銀歯の正式名称は金銀パラジウム合金といいます。
銀歯の治療を含む日本の保険治療は患者さんの窓口での費用負担は3割で、残りは国から払われています。(もちろん保険料として払ってはいますが)
アメリカなどでは保険制度がないので、それに比べるととても安く治療できます。
ただ、保険治療で目的とするのは、生活する上で支障が出ない最低限度の治療と考えてください。
そのため使える材料も限られていて、もちろんとてもいいものは使っていません。
銀歯はもう50年以上作り方などが変わっていません。
そして銀歯の成分も少しずつ変わっているものの、銀歯の寿命も昔とさほど変わっているわけではないのです。
それに比べると自費治療だと銀歯に代わるものをさまざまな材料から選ぶことができます。
自費治療は白い詰め物や被せ物を中心としているので審美面で優れているのはもちろんですが、保険治療よりも身体にいい材料を使っているので、銀歯より健康面でも優れているのです。
最近はどんどん研究や開発が進められているので、よりいいものが使われている、それが自費治療なのです。
次は、銀歯はなぜ寿命があるのか、なぜ外れているのか説明していきます。
銀歯が取れてしまう理由
保険の銀歯で使われている金銀パラジウム合金は、自費治療で使う金属よりも溶けやすい性質があります。
お口の中はとても熱いものや冷たいものが入ってきたり、酸性、アルカリ性のものも入ってきたりします。また強い力で噛んで食べ物を食べるなど、とても過酷な環境になっています。
特に酸性のものは歯を溶かす性質があるのですが、実は銀歯も溶けているのです。
銀歯が溶けて腐食することによって形が変化してしまうのが、銀歯が取れてしまう理由の1つです。
銀歯が溶けてしまうことは身体にもとってもいいことではありません。
銀歯が腐食することによって銀イオンが溶け出し、全身に回ります。
銀歯は一度つけると外れたり、白いものに変えたりしない限りずっとお口の中にあるため、ずっと銀歯から銀イオンが出続けます。
それによって今までは違ったのに、銀歯が原因で金属アレルギーになってしまう可能性があるのです。
それから銀歯が入っている近くの歯茎が黒く変色してしまい審美的に問題が出てくる場合があります。
銀歯は白い詰め物や被せ物に変えることはできますが、銀歯によって変色してしまった歯茎の変色はなかなか元に戻らないので注意しましょう。
銀歯が取れてしまう2つ目の理由としては、銀歯にした歯は虫歯になりやすいことです。
銀歯にした縁の部分は凸凹していて汚れが溜まりやすいです。
その上、長年銀歯を使用していて溶け出してしまい形が変化してくると銀歯と歯の間に汚れと虫歯菌が入り込んで、銀歯の下で虫歯が広がっていく場合もあります。その場合は歯ブラシで磨くことができず、また元々虫歯だったところを削っているため虫歯の進行も早いです。
そうすると虫歯に侵食された歯の方も形が変わってきたり、脆くなってきたりするので銀歯が取れてしまう場合があります。
銀歯が取れてしまう理由は他にも。
銀歯が取れてしまう理由3つ目はセメントが劣化してしまうことです。
銀歯はセメント(接着剤のようなもの)によって歯にくっついています。
銀歯を接着しているセメントは昔に比べると改良されて良くなってきていますが、やはり環境が厳しい口腔内で長年使っているとどうしても劣化が進んできます。
それによって銀歯が取れてしまう場合もあります。
もしそれで取れてしまった場合は、特に虫歯がなければそのまま付け直すことも可能です。
ただセメントが劣化すると溶け出して銀歯と歯の間に隙間ができ、そこの空いた部分に菌が入り込み虫歯になることもよくあります。
このように、銀歯の下は虫歯になってしまうことが多いため、虫歯にならないように注意することが大切です。
虫歯にならないようにするためには、まずは毎日のブラッシングをしっかり行うこと。
特に夜寝ている間は虫歯菌が活発になりやすいので寝る前のブラッシングは念入りに行うことが必要です。
それからしっかり定期検診に行くこと。
自分のブラッシングだけではどうしても落とせない部分が必ずでてきます。
半年に一度くらいはプロによるクリーニングをしましょう。その時に虫歯のチェックもできます。
そして、できることならば銀歯ではなくセラミックなどの自費のものを入れましょう。
先ほどもお話ししたように、自費のものだと白で見た目がいいだけではなく、銀歯よりも身体にいい材料を使っていたり、汚れが付きにくかったり、継時的変化が少ないです。
患者さんとしてはなかなか分かりにくいのですが、しっかりと治療をしてくれる先生のところで行うことが大切です。
残念ながら、世の中には、しっかり虫歯を取りきらずに銀歯をつけてしまう先生がいることも確かです。
そうすると銀歯をつけてもまた虫歯になってしまう可能性も高くなってしまいます。
ポイントとしては、しっかり親身になって話を聞いてくれる先生がいいと思います。
口腔内の状態を説明してくれる、治療方法の選択肢を提示してくれてメリットやデメリットを説明してくれる、疑問に思っていることや不安なことを聞いて解決してくれる先生は信頼できると思います。
もし治療方法や銀歯の寿命など不安なことがあったら、他の先生の意見も聞いて見るセカンドオピニオンという制度もありますので利用してみてください。
銀歯が頻繁に取れてしまう場合
最後に、銀歯が頻繁に取れてしまう場合はまた違った問題もあります。
これは銀歯だけに限らず全ての詰め物や被せ物に共通することですが、同じ部位の銀歯がなんども取れてしまう場合は噛み合わせなどが合っていない場合があります。噛み合わせを少し調整することによって外れることがなくなる場合もあります。
それから、同じ歯ではなくていろいろな部位で銀歯が頻繁に外れてしまう場合。
これは銀歯やそれ以外の問題ではなく、もしかしたら夜寝ている時に歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があり、それが原因かもしれません。
寝ている時の歯ぎしりや食いしばりは、日中起きている時には考えられないくらいの力が歯やその周りの組織にかかっています。
日中の噛み合わせの力が30㎏だとすると、夜寝ている時は300㎏という実験結果も出ているのです。
それだけの力がかかっていれば銀歯が外れるなどの問題が出てもおかしくはありません。
寝ている時の歯ぎしりや食いしばりは自分では気付かない部分が多いですが、心当たりがある人は先生に相談していただくといいと思います。
銀歯が外れてしまう理由については理解できたでしょうか?
いろいろなことを考えるとやはり虫歯をつくらないのが一番です。
これ以上作らないように注意しましょう!