人間は食事の後には歯を磨き、むし歯や痛み、気なるところがあると歯科医院に行って治療をしますよね。
同じように歯が生えている野生動物ですが、歯科医院なんてないですし、もちろん食事を摂った後に歯を磨くことなんてありません。
それなのに野生動物の歯がむし歯になるなんて聞いたことありませんよね。
動物の歯は本当にむし歯になることはないのでしょうか?
ならないとしたら、どうして野生動物だけならないのでしょう?
人間で、特に日本人はむし歯になることが多く、歯科医院もたくさんあります。
もしむし歯にならないとしたら人間にとっては夢のような話です。
逆に人間はどうしてむし歯がこんなに多いのでしょうか?
動物はそれぞれ食べるものが変わった歯の生え方をしている種類もたくさんいます。
今回は、人間と動物の歯について食生活の違いや、生え方、形の違いについて説明していきたいと思います!
動物の歯はむし歯になるのか?
人間はむし歯になって痛い思いをしたり、歯医者に行って直したりします。
動物社会にはもちろん歯医者はなく、食べ物を食べた後に歯磨きなんてすることもないですが、それなのにむし歯にはならないのでしょうか?
最初に答えを言うと、野生動物の歯はむし歯にはなりません。
むし歯になる1つの要素として、「糖」が食事の中に含まれていることが大きな原因の一つです。
人間の食事の中では糖が含まれているものはとても多いです。
甘いお菓子やデザートはもちろんのこと、お米やパン、野菜や果物にも量はさまざまですが含まれています。
野生動物の食べるものは糖が圧倒的に少ないです。
お菓子やデザートなんてもちろんありません。
それから、人間は火を使って調理したり、加工されている食品を食べたりしますが、野生動物は食材を生のまま食べます。
生のままだと硬くて噛みごたえがあり、また繊維質のものも多く、よく噛まないと消化するのが大変になってしまいます。
動物の歯はその時に食材によって歯を磨いているのと同じ効果が得られるのです。
人間の食べているものは柔らかいものが多くなり、昔に比べてあまり噛まなくても食べられるようになりました。
火を使っていなかったはるか昔は、人間でもむし歯がほとんどなかったと言われています。
噛むことが少なくなることによって唾液の量も少なくなります。
唾液には汚れを洗い流してくれる作用や、抗菌作用、再石灰化の作用などがあり、むし歯と大きく関係しています。
そのため唾液が少なくなるのもむし歯ができてしまう要因です。
動物でも飼育している犬などのペットは、加工された餌や、人間の食べ物を食べることもあるため、動物の歯とはいえむし歯や歯周病になる可能性は十分にあります。
できれば人間の食べ物はあげないようにしたり、また、歯磨きなどケアしてあげたりするといいでしょう。
動物の歯の形や生え方の違い
人間の歯と動物の歯では形や生え方にそれぞれ特徴があり、動物の中でもいろいろな種類がいます。
まず動物の歯の形ですが、肉食動物の歯は肉を切り裂いて食べるために鋭く尖った歯を持っています。
逆に草食動物の歯は草や木の実をすり潰すので平らな歯を持っています。
人間の歯は雑食で両方とも食べるので両方の機能が使える歯となっています。
そして生え方も人間と動物の歯では大きく違います。
人間の歯は子供の頃に乳歯が全部で20本生え、徐々に永久歯に生え変わります。
永久歯は全部で28本、親知らずが4本全て生えれば32本となります。
例えばサメの歯は種類によりますが全部で200本ほど歯が生えています。
しかもそれらの歯は2,3日ごとに新しい歯に生え変わります。
現在使っている歯の後ろに6〜10列ほど予備の歯が控えているのです。
いつも新しい歯で獲物を捕らえることができ、これならむし歯にもならずに過ごせますね。このように何度も歯が生え変わる動物を多生歯性と呼ばれています。
また、げっ歯類といわれるウサギやネズミ、カバなどの犬歯(八重歯といわれている歯)は一生伸び続けます。だいたいは3〜4日で約1ミリずつ伸びていきます。
硬いものを食べることで伸びている歯をすり減らしているのです。
象の場合は大きな臼歯が上下左右に1本ずつの計4本しか生えていません。
ただ1本が3〜4Kgもあり、表面は凸凹しています。
硬い木などを食べるため大きくて丈夫な歯ですりつぶして食べます。
生活していく中で歯はどんどんすり減っていくのですが、ある程度の薄さになると生え変わります。
生涯で6回生え変わるのですが、人間のように下から垂直に生えてくるわけではなく、水平交換といって奥にある臼歯が脱落するという形になります。
それなので歯がなくなる時期がありません。
歯のない動物?
動物にはほとんど歯がありますが、なかには歯が生えてない種類や、一部だけ生えている種類もいます。
歯がない場合はどうやって食べているのでしょう?
アリクイやカメ、鳥類は歯が生えていません。
アリクイは名前の通りアリを食べるのですが、舌がネバネバしていてそこにアリをくっつけて運んだり食べたりします。
カメは顎の肉がとても硬くなっていてそこで食べます。
鳥は食べ物を丸呑みします。ペンギンが魚を丸呑みしているのを見たことがありませんか?
丸呑みすると消化が大変なので、鳥類には消化器官に「砂嚢」という部分があります。そこに砂や小石を蓄えてそれで食べ物をすり潰すのです。
小鳥などはくちばしで木の実などをつぶして食べたりもします。
牛は、歯は生えているのですが、上の前歯だけ歯が生えていません。
草を食べるのですが、下の前歯と硬くなっている上唇で草を食いちぎって食べます。
また、カエルは下の歯がなく上だけ歯が生えています。
クジラは種類によって歯が生えているものと生えていないものがいます。
ハクジラとヒゲクジラの2種類いて、ヒゲクジラという種類は歯が生えておらず、ヒゲという角質の板で小さな餌を越してから食べます。ハクジラには歯が生えているのですが数が不規則で、種類や性別により大きく差があります。
こう見ていくと動物の歯にもいろいろな種類がありますね。
人間の歯も昔に比べて顎が小さくなったり、あまり噛まなくなったりしているので親知らずが昔に比べて生えなくなった人も多いです。長い年月をかけて、進化の過程で変化していくのです。
人間の歯・動物の歯
人間の歯と動物の歯の違いについて理解できましたか?
動物の歯は生態によってそれぞれ食べるものが違うため、その動物にあった歯になっているんですね。
特に野生にいる動物は食べることができないと生死に関わってくるためとても大切なものなのです。
動物の歯は折れたりしない限りむし歯にはなりませんが、飼われているペットとなると話は変わってきます。
むし歯や歯周病になる可能性は十分にあり、それが口臭の原因になったり、膿が出てくる原因にもなるためしっかりケアをしてあげましょう。
また人間は火を使うようになってこんなにむし歯ができるようになってしまいましたが、今から昔のように火を使わない生活になるなんてことはありません。
そして同じように生活をしていても、国によっては予防に力を入れていてむし歯になる人がとても少ない国もあります。
サメのようにどんどん新しい歯が生えてきたらむし歯にもならず、とてもうらやましいですが、もちろんそんなわけにもいきませんね。
毎日しっかり歯磨きをして、定期検診に行き、むし歯を作らないようにケアしましょう。