普段はあまり気にしていない唾液。
実はお口にとっては欠かせない、とても大切なものなのです。
唾液があることによってお口の中の健康が保たれています。
概要
唾液は虫歯予防に役立つ?
健康な成人だと1日に分泌される唾液の量は1.5〜2リットルも分泌されます。
ただ多少の個人差はあり、また病気などで唾液の量が少ない人もいます。
他にも年齢を重ねることによっても量は減ります。
唾液分泌量がピークになるのは15歳ですが、30代を境にだんだんと減ってきて、70歳ではピークの1/3にまで量が減ってしまうのです。
唾液にはどのような働き、効果があるのでしょうか?
また、唾液が少ない場合はなにか方法はあるのでしょうか?
今回はそれについて説明していきます。
唾液は虫歯予防に役立っている?
知らなかった方も多いかもしれないですが、唾液は虫歯予防にとってとても重要な役割があります!
知っていましたか?唾液にはお口にとって欠かせない、とても重要なものなのです。
それを一つずつ説明していきます。
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抗菌効果
虫歯菌や歯周病菌を殺す作用があることにより、虫歯を予防することができています。
また、雑菌の増加も防ぐので口内炎などが悪化しない効果もあります。
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自浄作用
唾液によって口の中の汚れを洗い流してくれる効果があります。もちろん全ての汚れを洗い流しているわけではないので歯磨きは大切ですが、唾液が少ないともっと汚れがついてしまいます。
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再石灰化
脱灰により溶け出した歯を修復する作用があります。
初期虫歯だったらいつのまにか治してしてしまう力を持っているのです。
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緩衝作用
口の中のPH(ペーハー)は普段7で中性となっていますが、食べ物を食べると酸性の方に傾きます。
酸性になると歯の脱灰がして、それが進むと虫歯になってしまうのですが、そのPHを元に戻してくれる働きがあります。
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潤滑作用
潤滑作用があることによって、口腔内を潤わせ、乾燥を防ぐことができます。それによって虫歯菌や歯周病菌など、嫌気性菌(空気を嫌う菌)の働きを弱める効果があります。
これらの効果によって虫歯や歯周病になるのを防いでいます。
ただ糖を取り過ぎていたり、歯磨きがちゃんと出来ていなかったりするとその作用があっても防ぎきれず虫歯や歯周病になってしまいます。
それなのでしっかり歯磨きはしましょう。
逆に、ドライマウス症候群の方や薬を飲んでいて唾液の量が減ってしまう方は唾液の効果が少なくなってしまいます。
ドライマウスは高齢の方がなりやすかったのですが、最近は昔に比べて柔らかい食べ物が増えているため、噛む回数が少なくても食べることができるものが多くなってきました。
それによって唾液の分泌が減り、若い人でもドライマウスになってしまう人が多くなってきています。
普通の人よりも虫歯や歯周病になりやすくなってしまうので、よりブラッシングなど気をつけなければいけません。
硬いものを食べる、よく噛んで食べるということは虫歯予納にも繋がるんですね!
唾液は虫歯予防以外にもいい効果がたくさんある
虫歯予防に欠かせない唾液ですが、それ以外にもたくさんの働きをしています。
まずお口の中だと口臭を予防する効果があります。
唾液には口臭を予防してくれる成分が入っているのです。
寝起きに口臭が強くなってしまうのは、寝ている間は唾液の分泌が止まって乾燥するためです。
それから唾液にはアミラーゼという消化酵素が入っています。
アミラーゼはデンプンを糖に変える働きがあり、消化器官である胃腸の負担を軽減します。消化酵素の無駄遣いを抑えることができるのです。
それによって体内の代謝がアップし、ダイエット効果が得られることができます。
それからデンプンが糖に変わることで血中の血糖値が早く高まり、満腹中枢に働きかけるため食べ過ぎに防止にもなります。
昔から食べ物はよく噛んで食べた方がいいと言われていますが、これらの理由があるんですね!
食べ物に関してだと、味覚を感じやすいように味覚物質を溶かす作用もあります。それによって舌の味蕾(みらい)という味覚受容器に届けられます。
唾液がないと味蕾に味物質が届かなかったり、舌が擦れて味蕾がなくなったり、働きが悪くなったりします。
その他、唾液は風邪やインフルエンザから身体を守ってくれる働きがあります。
口から入ってくるウイルスや病原菌などを捕獲し、抗菌作用によって身体に害を及ぼすのを防いでくれるのです。
そしてがん細胞ですらも唾液に30秒ほどつけると細胞の作用が著しく低下するという研究結果もあります。
唾液の効果はたくさんあって、万能薬みたいですね!
唾液の量を増やす方法
唾液にはこんなにたくさんの効果がありますが、ドライマウスの方、それから高齢になってくると唾液の量は減ってしまうのでこれらの効果が得にくくなります。
しかし少しの工夫で唾液の量は増やすことができます。
それについて、いくつか紹介していきます。
- ・食べ物はよく噛んで食べる
食べ物をよく噛んで食べることによって唾液の分泌が促進されます。
ガムを噛むことも唾液分泌の促進には役立ちます。
- ・水分をたくさん取る
唾液は水分でできています。
最初にも言いましたが1日に1.5〜2リットル分泌されるため、水分補給をしっかりすることが大切です。
緑茶やウーロン茶にはポリフェノールが含まれているため、飲みすぎると唾液の分泌を抑制してしまいます。清涼飲料水も糖が入っていて虫歯の原因にもなってしまうので、できれば水を飲むことをお勧めします。
- ・舌の運動をして、唾液腺のマッサージをする
唾液腺は舌下腺、顎下腺、耳下腺の3種類あります。
舌をくちの中で大きく回すように運動することによって唾液腺を刺激することができます。
それによって唾液の分泌が良くなります。
- ・酸性の食べ物を食べる
梅干しを見ただけで口の中で唾液の量が増えるのを実感したことはありますか?
酸っぱいものを食べることにより唾液の量が増えます。
それは身体が酸性のものは毒だと判断しているからです。
しかし、見るだけで唾液が出るのは、考えて判断するのではなく、反射で唾液を出しているのです。
人間の身体はその2つの回路によって唾液を出しているのです。
ただ酸は歯を溶かしてしまうため、あまり食べ続けるのはお勧めしません。
- ・リラックスをする
緊張していて口の中や喉がカラカラになった覚えはありませんか?
緊張しているときは交感神経が優位になっていて、その状態だと唾液の分泌が少なくなってしまいます。
副交感神経を優位にするには、できるだけリラックスするように心がけましょう。
唾液の量が少ない人はぜひ試してみてください!
生活習慣で唾液の量を減らしていませんか?
癖や、生活習慣によっても唾液の量は少なくなってしまう場合があります。
例えば口呼吸をしている方。
口呼吸をしていると水分が蒸発してしまうのでお口の中が乾いてしまい、唾液分泌の量に問題なくても結果的にお口の中が乾いてしまいます。口呼吸にはそれ以外にも弊害がたくさんあるので鼻呼吸にするようにしましょう。
また、朝食を食べない方。
起きたときは口が乾燥しているのもありますが、口臭の原因となる細菌も多いです。
朝食を食べることによってその細菌も一緒に飲み込んでしまうことができます。
そして噛むことによって、唾液の分泌も促されます。
今まで摂っていない方は少しでもいいので朝食を摂るようにしましょう。
その他に不規則な生活をしている人。
不規則な生活をしていると、自律神経のバランスが乱れてしまい交感神経が優位になってしまいます。
それは緊張しているのと同じ状態で、唾液の分泌が減ってしまいます。
できるだけ睡眠をしっかりとり、食生活も見直して規則正しい生活をしましょう。
唾液が虫歯予防やそれ以外にとても大切で、大きな役割があることはわかりましたか?
自分の唾液の成分や、量は調べる方法があるので歯科医院に相談してみてください。
もし、量が少ない方や、高齢の方はぜひ唾液を増やす方法を試してみてください!