親知らずは抜くもの?
『親知らずを抜く』と聞いて、どんなイメージがありますか?
- ものすごく痛い
- 抜いた後、顔が腫れる
- 抜いて、しばらくは口が開けづらい
- 麻酔が効きにくい
などなど
どれも、聞くと恐くなるようなものばかりですね。
できることなら痛い思いはしたくないし、歯を抜くことも避けたいと思いますよね。
しかし、親知らずを抜かないといけない場合は、抜かずに放置すると、より一層、抜きにくくなったりして、抜くことが困難になってしまいます。
しかし、親知らずが生えてきたから、絶対抜かないといけない!
と言うわけでも、ありません。
そもそも、親知らずとは、読んで字の如く「親に知られずに生えてくる歯」です。
一般的に永久歯は15歳頃までに生え揃いますが、親知らずが生えてくるのは18歳から20歳頃に生えるので、このような名前なんですね。
そして、親知らずは、上下左右、永久歯の一番奥の歯より更に奥に生えてきます。
ただ、この親知らず。
みんなが、全て4本とも生えるのかと言うと、そういうわけではありません。
親知らずは歯茎の中で横向きに埋まってたりして、一生、生えてこないこともあるのです。
なので、下は親知らずが左右とも生えてきたけど、上は1本も生えてきていないなんて事もあります。
では、親知らずはどんな時に抜く必要があって、抜かなくて良い親知らずはあるのか?
を次でお話しますね。
その親知らずは、抜かなくていい親知らず!?
「親知らずが生えてきたから、絶対抜かないといけない!
と言うわけでも、ありません。」とお話しましたが、どんな親知らずなら、抜く必要があって、逆に抜く必要がないのは、どんな親知らずなのかをお話していきますね。
まず、抜かなくて良い親知らずです。
これは、親知らずの向きが、重要になってきます。
親知らずの生え方は、他の歯と違って、斜めに向かって生えてくることや、歯茎の中で、一番奥の歯(第二大臼歯)の方に向かって横向きになっている場合が多いです。
また、親知らずの半分程だけ歯肉から生えていて、あとは歯肉が被っている状態のことも、よくあります。
でも、もしこの親知らずが他の歯と同様、まっすぐ生えてきているのなら、他にも条件はありますが、抜く必要はありません。
一般的に親知らずを抜いたほうが良い理由としては、斜めに向いて生えていたり、半分が歯肉に隠れている状態の場合、奥歯なので、歯ブラシが行き届かず、虫歯や歯周病になるリスクが非常に高いことと、もしそうなってしまった場合、奥の方にあるので、治療がしづらいことがあります。
そして、歯肉が被っている場合は特に、そこに細菌が溜まりやすく、炎症を起こしたりする事が非常に多いです。
しかし、まっすぐ生えている親知らずならば、他の歯同様、歯ブラシを当てることは、そこまで困難ではなく、清潔な状態を保ち易いので、抜く必要がありません。
ただ、まっすぐ生えていても、噛み合わせになる歯(上の親知らずなら、下の歯。下なら上の歯。)がなければ、噛み合わせによって抑圧される事がない親知らずが伸びてきてしまうので、抜く必要があります。
他にも、お口の中の状況によっては、抜かなくて良い場合もあるので、歯科医院で、しっかり診断してもらいましょう。
その親知らずは、抜かないといけない親知らず!?
ここまでは親知らずを抜かなくて良い場合のお話をしましたが、今回はやっぱり「抜かないといけない」場合のお話をします。
親知らずを抜くと言うと怖いというイメージがあると思いますが、それでも抜かないと、後々余計に痛い思いをしないといけない事になるかもしれません。
では、抜いたほうが良い場合ですが、
親知らずが、
①歯茎の中に埋まっていて、手前の大臼歯(第二大臼歯)に向かって横向きになっている
②斜めに向かって生えている
③歯肉から半分しか生えていない
などの場合は、抜いた方が良いことが多いです。
まず
①親知らずが歯茎の中に埋まっていて、手前の大臼歯(第二大臼歯)に向かって横向きになっているの場合ですが、歯茎に埋まっている状態で生えてもいないのに、抜かないといけないの?と思いますよね。
しかし、歯肉の隙間から汚れが入ってしまっても歯磨きで清潔にすることが出来ず、そのせいで、親知らずの手前の歯である大臼歯(第二大臼歯)が虫歯になってしまうリスクがあるからです。
また、歯茎の中に隠れている部分が大きな虫歯になっていて気づくのが遅くなってしまうこともあります。
また②斜めに向かって生えている場合や、③歯肉から半分しか生えていない場合に関しても、①の場合同様、歯の清掃がしづらいことが原因となります。
歯磨きをして磨けているつもりでも、親知らずが他の歯よりも奥歯にあることと、歯肉が被っていることで磨きづらく、どうしても細菌がたまってしまいます。
こうなると、虫歯になってしまったり、歯肉が炎症を起こしてしまう原因となります。
親知らず、抜かなくて大丈夫なのであれば、抜かない方が良いですが、
元来あるべきである他の歯(第二大臼歯)に影響を与えてしまうのであれば、その歯を守るためにも、親知らずは抜く必要があると言えるでしょう。
親知らずを抜くのは、痛い?大変?
親知らずを抜く必要がある場合、やっぱり気になるのは・・・
『痛み』ですよね。
親知らずを抜くのは、他の歯を抜くより、すごく痛いし腫れたりするイメージがあります。
では、実際はどうなのか、お話していきますね。
まず親知らずを抜くと、絶対に痛いのか、そして腫れるのか?ですが、その答えはNOです。
親知らずを抜く全てのケースにおいて、すごい痛みが伴い、腫れるわけではありません。
では、そんなに痛みも腫れもないのは、どんな場合かと言うと、それは上の親知らずを抜く場合です。
上の親知らずは、骨の埋まり方も下の歯ほど、がっちりではないので、比較的簡単に抜けます。
なので、歯科医に麻酔されて「抜きますね〜」と言われて、ものの数秒で親知らずが抜けて「もう抜けてますよ」と言われて、びっくり!!なんて事も、よくあります。
また、親知らずを抜くことによって出来る傷口も、それほど大きくないので、縫い合わせることもなく済む場合が多いです。
では、下の親知らずは、どうかと言うと・・・
これは、生え方や歯の状態によっても、まちまちではありますが、やはり上の親知らずを抜く場合よりは痛いことが多いです。
そして、下は麻酔も効きにくいので、麻酔をしっかり効かせるためにも、麻酔自体が上の時とは違い、痛みが強いこともあります。
そして、下の親知らずは、上の歯と違って、骨にしっかりと埋まっているので、歯茎を切って、骨を削らないと抜けない場合があります。
麻酔がしっかり効いていれば、効いている間は、骨を削られても、「なんかゴリゴリされてるな」という感覚はあっても、痛みを伴うことはありません。
しかし、麻酔が切れてくると、それと共に、鈍い痛みが出てくることがあります。
また、骨を触っているので炎症を起こし、ほっぺたが熱を持って腫れることもあります。
しかし、これは数日で治ります。
また、歯肉を切っている場合などは、傷口の治りを良くするため、止血のためにも、縫合されることがあります。
このように、上と下でも、親知らずを抜く痛みや腫れには違いがありますが、前述にもありますが、抜く親知らずの状態によっても、抜き方、抜いた後の処置、そして痛みの出方や腫れ方は、様々です。
早めに親知らずを抜いた方が痛くない
歯を抜くのは怖いので、どうしても先送りにしてしまいがちですが、もし親知らずを抜く必要があるなら、早めに抜くことをお勧めします。
それは、抜く必要がある親知らずを放置すると、抜くときの痛みが増大してしまうからです。
もし親知らずが虫歯になっていて抜く必要がある場合、放置したことによって虫歯は進行しますよね?
そうなると痛みが出てしまうことがありますが、歯の麻酔は、痛みが出ている歯に関しては効きづらいと言われています。
なので、歯を抜くための麻酔も効きづらいことがあります。
そして、もう一つは、親知らずの虫歯が進行していて歯がボロボロになってしまっている場合です。
こうなると、親知らずを抜くために歯に力をかけただけで、歯が粉々になってしまい、1本の歯としてスポっと抜けてくれません。
粉々になって歯茎の中に残っている親知らずの破片を抜くために切開が必要になったりすることがあります。
また「親知らずを抜くのは早めが良い」というのは、年齢的なものもあります。
同じ親知らずも20代で抜くのと50代で抜くのは、大変さが違います。
やはり、骨の中に長くある状態になると、その分、骨にもしっかりと、くっついているので、それを抜くのは大変になるのです。
どうしても躊躇する親知らずの抜歯ですが、きちんと診断を受けて、抜く必要がある場合は、早めの処置の方が痛みが少なくて済むので、早めの処置をお勧めします。